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アトピー性皮膚炎について
アトピー性皮膚炎の定義
良くなったり悪くなったりを何度も繰り返して、左右対称の(四肢関節部や目の周りなど)特徴的な部分に,痒みのある湿疹ができる炎症性の病気です。その多くの人にはアレルギー疾患の既往歴か家族歴があります。
アトピー性皮膚炎の診断
定義に基づいた日本皮膚科学会の診断基準を用います。
詳しくはアトピー性皮膚炎 Q3 – 皮膚科Q&A(公益社団法人日本皮膚科学会)をご覧ください。
アトピー性皮膚炎の治療
症状に合わせた診断と重症度の評価が重要です。
それらに基づき、アトピー素因があり、発症・悪化に多くの因子が関与し、皮膚に機能異常が存在することを前提とした治療計画が必要となります。治療の3つの柱は①原因・悪化因子への対策、②皮膚機能異常の対策(スキンケア)、③薬物療法、です。
①原因・悪化因子への対策
食べ物やストレス、風邪などさまざまな因子が関与しています。診察を通じて少しずつそれらを確認して、無理ない対策をとってゆきます。
②皮膚機能異常の対策
保湿機能の低下やブドウ球菌の感染など皮膚の防御能力の低下による障害があります。これらの異常を補正するためにスキンケアが非常に大切であり、治療の中心となります。
③薬物療法
上記①②で改善が見られない場合は薬物療法となります。
炎症の抑制には原則としてステロイドが用いられます。
ステロイドはアトピーの薬物治療の根幹となる薬です。ステロイドを使ってもともとある皮膚の機能障害を正常化させて、本来の機能(アレルゲンの侵入阻止や修復機能)を取り戻すために皮膚の炎症を抑えなければ成りません。そのために必要充分量のステロイドを短期使用して落ち着けて、その後少しずつ補充しながら良い状態を維持します。
小さい頃から皮膚機能を正常に維持しながら成長すると、皮膚の防御力が増してゆき、薬物療法をやめてスキンケアだけでも良い状態が維持される方も多く見られます。
アトピー性皮膚炎の予防
これまで長い間、赤ちゃんに対して卵や牛乳の除去や母乳栄養児の母親への食事制限がアトピー性皮膚炎の発症予防になるのではないかと考えられ、世界中でいろいろ実践されてきた歴史があります。ですが、どれもはっきりとした予防の働きは認められていません。
しかし、2014年秋、わが国の成育医療センターから、世界で始めて明らかに発症頻度の減少のある予防方法が発表されました。
この発表のように、乳児期の赤ちゃんの皮膚をきれいに保つことは大変重要です。
皮膚をしっとりとした正常皮膚に維持することがアレルゲンの情報の体内への侵入を防ぎますので、ほかのアレルギー体質の予防にもつながると期待されています。