相模原市中央区相模原の小児科・藤野こどもクリニック,小児科,小児循環器科,小児アレルギー科

藤野こどもクリニック

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小さな話

新・旧コロナウイルスについて

コロナウイルスとは

人類に感染するコロナウイルス

昔から人類に蔓延している風邪の旧型コロナウイルス4種類と、新型の3種類があります。
新型は現在流行しているCOVID-19と、2002年に一部で流行したSARS-CoV、そして2012年にサウジアラビアでヒトへの感染が発見されたMERS-CoVの3種類があります。

風邪のコロナウイルス(旧型)

日常私たちが“風邪ですね!”と言っているうちの10~15%は、昔からある4種類のコロナウイルスによる感染症です。冬期に流行のピークが見られ、流行期は風邪の35%をしめると言われているとてもポピュラーなウイルスです。ほとんどの子供たちは6歳までに感染を経験します。症状の多くは鼻風邪程度ですが、高熱を出すこともあります。
これらの旧型コロナウイルスは1960年代に2種が、のこりの2種は2000年代に発見されました。

危険なコロナウイルス(新型を含む)
SARS-CoV

このウイルスはコウモリのコロナウイルスがヒトに感染して重症肺炎を引き起こすようになったと考えられています。2002年11月から9ヶ月間で30を超える国と地域に拡大しました。2003年12月時点の疑い例を含む感染者は約8000人、775人が重症の肺炎で死亡しています(致命率9.6%)。ヒトからヒトへの伝搬は市中において咳や飛沫を介して起こりました。死亡した人の多くは高齢者や心臓病、糖尿病などの基礎疾患をもともと持っているひとでした。子どもにはほとんど感染せず、感染した例では軽症の呼吸器症状を示すのみでした。

MERS-CoV

このウイルスは、ヒトコブラクダに風邪症状を引き起こすウイルスですが、種の壁を越えてヒトに感染すると重症の肺炎を引き起こすと考えられています。
これまで(2019年11月)に27カ国で2494人の感染者がWHOに報告され、そのうち858人が死亡しました(致命率34.4%)。その後大規模な疫学調査が行われ、一般のサウジアラビア人の0.15%がすでに感染を経験していることが解りました(抗体を保有)。
そのことより実際は報告されなかった感染者が何万人も存在していて、感染者の大多数が軽い風邪症状か、症状の出ない不顕性感染ですんでいたと解りました。重傷者の多くは高齢者や基礎疾患(糖尿病、慢性の肺、心臓、腎臓疾患など)を持っているヒトでした。
15歳以下の感染者は全体の2%程度でしたが、その多くは不顕性感染か軽症でした。
このウイルスの伝搬様式も重傷者から飛沫感染ですが、市中でヒトからヒトへ持続的に感染が拡大したことはありません。

動物のコロナウイルス(参考)

コロナウイルスは家畜や野生動物などの我々の周りに生息するあらゆる動物に感染し、さまざまな疾患を引き起こすと言われています。犬、猫、牛、豚、ニワトリ、ウマ、ラクダに加え、シロイルカ、キリン、フェレット、コウモリ、スズメからもそれぞれの動物に固有のコロナウイルスが検出されているそうです。多くの場合軽症の呼吸器症状や下痢を引き起こすだけですが、まれに流行するマウス肝炎ウイルスや猫伝染性腹膜炎ウイルスなどは致死的です。コロナウイルスの種特異性は高く、種の壁を越えることはとても少ないようです。

ここまでは国立感染症研究所のデータを要約させて頂きました。
https://www.niid.go.jp/niid/ja/from-idsc/2482-2020-01-10-06-50-40/9303-coronavirus.html
私はウイルスの専門家では無いので、権威ある施設の情報を利用させて頂きました。稚拙な要約でしたが、ウイルスへの理解を皆様に深めて頂けるなら、許して頂けるものと信じています。

COVID-19

このウイルスは2020年3月9日現在、世の中を騒がせているやつです。
本欄にまとめを記入するのは1年後でしょうか。
刻一刻と情報は増えていると思いますので、お読みになっている皆様が一番新しい知識を持っていることと思います。

ここまでお読み頂くと、コロナウイルスは未知なる化け物という印象が和らいできたのでは無いでしょうか?
子供たちも含めて私も、人類すべてが旧型の4種にはすでに感染している可能性が高いのです。また、近くを歩いている猫ちゃんやワンちゃんも固有のコロナウイルスに感染したことがあるのでしょう。

お気づきになられたように、すでに私たちは多種のウイルスの中で共存しています。
それでも無事に生きているのは、免疫力と清潔な動作を続けているからだと思います。
今流行のウイルスは怖そうですが、過去の事例を見ると今回のCOVID-19とどこか似ている気もしてきます。
執筆時の10歳以下の感染者は1%程度ですし、中国での死亡数はZEROと小児科的には安心できそうなデータが届いています。
怖がりすぎず、かつ油断し過ぎないことが大切と言われています。

これからの変化も見逃さないように新しい情報を冷静に見極めながら、乗り越えてゆきたいと思います。

発熱

体温が37.5℃以上を発熱と言います。発熱は体に入った病原体である細菌やウイルスと戦っているサインです。
普段の平熱との差が1℃以下で、元気があり食欲にも大きな変化がなければ、慌てず様子を見てあげましょう。

体温調節に気を配りましょう。

小児は大人と違い体温調節機能が未発達です。部屋の温度が高かったり、厚着をしていると当然体温は上がります。
発熱時はこまめに熱を測り、着ているものや室温の調節をしてあげましょう。
氷などで冷やす場合は、わきの下や足の付け根を冷やしてあげると有効です。

こまめに着替えさせてあげましょう。

熱が出ているときは汗をかくので、その都度着替えさせてあげましょう。

入浴について

熱が高いときの入浴は控え、お湯で絞ったタオルで体を拭いてあげましょう。
熱があっても機嫌がよく、食欲もあれば短い時間での入浴は差し支えありません。

解熱剤の使用について

発熱は感染症にかかった時の防衛反応です。むやみに解熱剤を使用する事は考えものです。
熱が高くても機嫌がよく、食事も食べられ、よく眠れるようなら解熱剤は使わないようにしましょう。

注意

熱が下がったと判断するのは24時間平熱が続いた状態を言います。
発熱のタイプによっては、朝は下がっていても夕方から夜にかけて熱が上がることがあるからです。
熱が下がっても元気がなかったり、食欲のない時は病気があまり改善されていない事を示しているので安静を保ちましょう。

下痢

下痢になるといつもより便の回数が増え水分の多い便が出ます。冷たい物を食べて急激にお腹が冷える時にも起こり、ウイルスが原因でなる事もあります。

水分補給を心がける

脱水症状にならないように、湯冷ましや麦茶、イオン飲料などを普段より多めに飲ませてあげましょう。
飲み物は冷蔵庫で冷やした物ではなく、室温に戻してから与えるようにします。

おしりのスキンケア

下痢の時は排便回数が多くなり、おしりがただれやすくなります。赤ちゃんは排便のたびぬるま湯を絞ったタオルで拭いたり、洗面器などを使い洗ってあげてください。また、幼児はシャワーを使ってその都度洗ってあげると良いでしょう。

お風呂

下痢が続いても元気があって機嫌がよければ、お風呂に入って清潔にしてあげましょう。
ただし、長風呂は禁物。下痢がひどい時はシャワーの方が良いでしょう。

食事

母乳の場合
そのまま続けていただいてかまいせん。量は少しずつ回数を多くしながらお腹の様子を観察していきましょう。
ミルクの場合
最初はミルクを半分に薄め、量は少なく回数を多くします。
下痢がひどくならないようなら濃さを普段の2/3、お腹の様子を見ながら普通の濃さに戻していきます。
離乳食が始まっている場合
離乳食は中止し、水分だけにします。野菜スープ、お味噌汁の上澄み、りんごのすりおろしが良いでしょう。
幼児以降
消化の良い物をあげましょう。油っぽいもの、乳製品、生物は避けてください。
便が水の時は水分中心に。便がドロドロならドロドロの食べ物を。(おかゆ、煮込みうどんなど)便が柔らかい食べ物を。

こんな時は受診を…

水分も取れない、ぐったりしている、吐いている、おしっこが少ないなどの症状がある時は受診をしてください。

薬の飲ませ方

薬の飲ませ方(シロップ)

◎保管の仕方
常温で保存。夏場は雑菌が繁殖しやすいので、冷蔵庫での保存がおすすめです。残ったら捨てましょう。
◎飲ませ方
薬の成分が沈殿していることがあるので、泡立てないように容器を振ってまぜ、一回量を量って飲ませましょう。
直接容器に口をつけて飲むことはやめましょう。
  • スポイトで計量したシロップをスプーンに写し、舌の奥に少しずつ流しいれる。
  • スポイトで計量したシロップを小さなカップに移し、飲ませる。
以上の方法があります。
本人にあった方法を見つけて飲ませてあげてください。

薬の飲ませ方(粉薬)

◎保管の仕方
粉薬は湿気に触れると薬の成分が変化することがあります。
缶やタッパーなどの密着容器に乾燥剤と一緒に入れておくことがおすすめです。
◎飲ませ方
  • 粉薬にスポイトで湯冷ましを加え、指で団子状に練り、ほっぺの内側や上あごにつけます。
  • 粉薬を湯冷ましで溶かし、液体状になったら哺乳瓶の乳首に入れて飲ませます。
  • 子どものすきな甘味の食べ物に混ぜて飲ませる。
◎薬に混ぜるものの注意
  • いつも飲んでいるミルクやご飯に混ぜ・酸味が強い柑橘類のジュースやスポーツドリンク、ヨーグルトに混ぜると苦く変化し、さらに飲みづらくなってしまうので避けましょう。
  • 混ぜるものは砂糖水、はちみつ、水あめ、コンデンスミルク、バニラやチョコレートのアイスが飲みやすいです。
  • 内服後すぐに水や好きな飲み物を飲ませてあげると、口の中に薬が残らず良いでしょう。

はしか(麻疹)

麻疹ウイルスがのどや鼻から入って感染する病気です。感染力が強く、肺炎や気管支炎などの合併症を伴います。
子どもがかかりやすい病気の中では症状が重く、予防が必要な病気の一つです。
高熱が数日続き、風邪に似た症状と白い口内炎ができます。
その後、赤い発疹が全身に広がり、症状の改善までには10~14日かかります。
6ヶ月ごろから1歳前後に多い病気です。

潜伏期間

2~18日程度

症状と経過

38度前後の熱がでて、咳、鼻水、くしゃみなどの風邪に似た症状が見られ、目の充血や目やにがでます。頬の内側にコプリック斑と呼ばれる白いぽつぽつしたものが出始めます。
熱は3~4日でいったん下がりますが、再び上がり始め、顔や首、胸のあたりに赤く盛り上がった発疹が現れ、全身に広がります。
7~10日で熱が下がり始め、発疹は赤褐色に変わり、消えていきます。

治療方法

特効薬がないので、症状に応じて解熱剤、咳止めなどによる対症療法が行われます。

対応

静かな環境で安静に過ごさせます。
高熱時は水分補給をしっかりとさせてください。
症状が十分落ち着くまでは登園・登校が停止となります。

おたふくかぜ(流行性耳下腺炎)

発熱とほぼ同時に耳の下あたりの耳下腺、額下線が腫れます。熱は3~4日で落ち着き、腫れや痛みは7日くらいで引きます。
5~10歳くらいに多い病気です。

潜伏期間

2~3週間程度

症状と経過

熱は出ない事もあります。
腫れ方は両側同時か、片側が腫れてから1~3日で反対側が腫れるなどさまざまです。
耳下腺だけでなく、顎の下の顎下線まで腫れることがあります。腫れは3日くらいでピークに達し、7~10日で自然に良くなります。

治療方法

おたふくかぜそのものに効く薬はありません。
熱や痛みがある時は、症状を抑える薬を処方します。

対応

腫れている時(1週間程度)は、登園・登校が停止となります。
合併症として、20~30%に髄膜炎を起こす事があるため、腫れがある間は安静に過ごしましょう。
腫れている部分を冷やしたりすると、痛みが和らぎます。
痛みがあって噛めない時は、あまり噛まなくてよいものを与えましょう。

水ぼうそう(水疱瘡)

水痘ウイルス、帯状疱疹ウイルスに感染して起こります。
発疹とともにかゆみをともなう小さな水疱が体中にでき、感染力が強いので兄弟がかかると、ほとんどは感染します。
毎年冬から春にかけて、保育園や幼稚園などで流行するため、2~8歳くらいに多い病気です。

潜伏期間

2~3週間程度

症状と経過

38度くらいの熱が出て、赤い発疹が全身に出ます。
半日くらいでかゆい水疱となり、1~2日で黄色い膿をもったのう胞となり、さらに2~4日で黒っぽいかさぶたとなります。
約3~4日発疹が次々でき変化していきます。1週間くらいでよくなります。

治療方法

かゆみ止めの塗り薬と、重症化を防ぐために抗ウイルス剤を処方します。

対応

水疱がすべてかさぶたになるまでは、登園・登校が停止となります。

突発性発疹

症状

突然38~39℃の高熱が出て、3~4日続いた後解熱と同時に体中に赤い発疹が出ます。
発疹は4~5日で消えます。
発熱時は比較的機嫌もよく、食欲も普段と変わりないことが多いです。
軽度の咳や下痢を伴うこともあります。
日本人は発熱時に熱性けいれんを伴いやすいといわれています(10%くらい)が、重篤な脳炎などを起こすことは稀です。
発疹もかゆみは無いと言われています。

治療と対処法

多くの場合、自然に良くなりますので経過を見ていく程度で大丈夫です。
特別な隔離の必要はありません。
熱が下がれば保育園の登園停止の必要もありません。

ロタウイルス性腸炎

ロタウイルス胃腸炎は、感染性胃腸炎のひとつで、乳幼児の重症胃腸炎のうち頻度の高い胃腸炎です。国内では、年間約79万人が受診し、その数%が入院しています。ロタウイルス胃腸炎には5歳までにほとんどの子どもがかかると言われており、生後3ヶ月を過ぎてからの初感染時に重症化しやすいことが知られています。

激しい嘔吐・下痢を繰り返すため、水分補給が十分にできず気付かないうちに脱水状態に陥ってしまうこともあります。
脱水症がひどくなると、点滴が必要になります。小さいお子さまでは一度に大量の水分を点滴すると、心臓に負担がかかるため、ゆっくりと長い時間をかけて点滴する必要があります。
下痢も長引くことが多いため、入院して点滴することが多くなります。
脱水症だけでなく、繰り返すけいれんや脳炎(毎年約40人)による脳の障害や重い腎障害など重い合併症もおこします。
まれに点滴をしても、重症で死亡することもあります。

日本での頻度はおおよそ毎年80万人が外来を受診し、8万人が入院、約10人が死亡します。
そこまで重症化しない場合がほとんどですが、多くは3歳前の目が離せない時期にかかるため、感染した患児はもちろんのこと保護者への負担も大きい疾患です。

潜伏期間

48時間以内

症状と経過

発熱と嘔吐から発症することが多く、頻回の水様性下痢(典型的には白色便)が続きます。
嘔吐と発熱は2日程度で軽快しますが、下痢は1週間程度持続します。

治療方法

ロタウイルスそのものに有効な薬剤はありません。そのため、ロタウイルス胃腸炎に対する治療は水分補給などの対症療法が中心となります。
家庭で管理できる軽症から中等症の脱水の治療には、基本的に経口補液療法(ORT)が中心となります。

対応

ロタウイルスは、ごくわずかな量でも乳幼児が胃腸炎を発症すると言われるほど感染力が強く、WHOは全ての地域において、ロタウイルスワクチンの定期接種化を推奨しています。